エロと芸術について、つっこんでみます。
永青文庫で開催されている春画展、観にいってきました。
開催が発表されてから、巷でひそかに話題になっていたんです。
そもそも春画とは…
春画は浮世絵の一種なんですが、江戸時代の風俗(一般庶民の生活や風習など)を表現したものが多い浮世絵、さらにその風俗をシモの世界につっこんで、特に性風俗を描いた浮世絵を春画といいますね。
開催場所の永青文庫
今回春画展の開催場所となった永青文庫は、旧熊本藩主細川家伝来の美術品、歴史資料を収蔵・展示・研究を行っている美術館で、細川家の屋敷跡にあります。
自然豊かな落ち着いた空間にあります。
「美術の殿様」とも言われた細川家第16代当主細川護立によって設立されました。現在、公益財団法人永青文庫が運営しており、その理事長はなにを隠そう18代当主の細川護煕。元総理です。政界引退されてから、ちょいちょい美術雑誌とかに顔出されてますよね。
総理やってる時は、そんな人だとは全然知りませんでした。
で、今回の春画展の感想
ちょっと話題になっているとはいっても春画ですから、そこまで人気の展示ではなかろうと思うておりましたが、永青文庫に到着してビックリ!!(◎_◎;)
大行列です( ;゚Д゚)
入場規制かかってました。14時まえくらいについたと思いますが、30分〜40分待ち…
お客さんの層は幅広くて、若い女性から年配のおじさまおばさま、オシャレなカップルまで多種多様。そんな人たちでいっぱいの中、皆様いかにも高尚なアートでも観るようにあれやこれやと芸術論を論じながら、鑑賞していくわけです。
しかし、
わたくしは、ちょっとそこに違和感を覚えずにはいられませんです(´・ω・`)
確かに、喜多川歌麿や菱川師宣らの超有名どころの絵師が描いたものもあるし、人の動きの表現、技術などは見れば見るほど芸術的に「すげーなー!!」と感じるものがあり、文化的・歴史的にも大変貴重で価値のあるものでうあるのは分かります。
でも文化的・歴史的に価値を感じるのは現在だからであって、江戸時代に絵師・刷師たちは、春画を芸術として制作していたのでしょうか?
世俗的なエロをここまで芸術的に昇華されているものも珍しいんですかね。その芸術性も、春画が描かれた時代から300年以上たった現代だから、芸術性を感じるのではないでしょうか。
芸術的なエロスと春画のエロは違う気がするんです。
Wikipediaの「春画」の項目には大量に出回った目的がよくわかっていない、とあります。いやいや、こんな俗なエロを絵にする目的は一つしかないでしょ。
現代でいうエロ本です。
それしか目的なんてないですよ!だから制作者側の絵師たちも、「ムラムラさせたら勝ち」みたいな発想で制作していたのではないでしょうか。絵をみて疑問に感じたんですが、春画は、顔や衣服はいかにも浮世絵なタッチのシンプルにデフォルメされたというか立体感のない絵なのに、なぜか性器の部分だけ妙にリアルに描かれてます。そこがリアルじゃないと、見る側がそそられないし、ムラムラしないからではないでしょうか。
少年ジャンプで連載中の『磯部磯兵衛物語〜浮世はつらいよ〜』という、江戸時代を舞台に自堕落な青年磯兵衛の主人公にしたギャグ漫画があります。その中で磯部絵は、自室にこもり、「母上が部屋に入ってこないかドキドキしながら、隠してあった春画を見て楽しむ」、というエピソードがあります。
まさに、コレです。
『磯部磯兵衛物語』は、江戸時代に現代の感覚をもちこんでギャグにしている側面もあるので、作者の仲間りょうさんが、「春画はエロ本だ」なんてメッセージをもって描いているかどうかは不明です( ノ゚Д゚)
エロ本なんだから、もっとジメッとした暗い場所で、開館時間も夜だけの21時〜28時にして、大人の愉しみとして展示したほうが、春画としてのポジションが合ってる気がしますし、春画のエロ度も増して楽しめるのでは。今回の春画展は、現代のエロ本やエロ動画を、あたかも芸術作品だと昼間っから展示するようなものです。
わざわざ18禁にしてまで。
しかし、絵師亡きいま、制作者の意図は、もはや真実は闇の中です。